私の愛した彼は、こわい人
 頭が真っ白になり、私はその場にしゃがみ込む。

「隠し事がバレちゃったねぇ。可哀想なアスカだ」

 低い声で嘲るタクトが、憎い。
 悔しくて、私は歯を食いしばった。

「今頃、神楽はサロンで暴れ回るチンピラ共を押さえつけるのに必死になってるよ。あいつの悔しがってる面、見たかったなぁ。僕の子をアスカが孕んだことを否定できないんだから。ホント、笑える」

 この男。
 どこまで私たちを苦しめば気が済むの……!
 私だけならまだしも、サロンのみんなも巻き込んで。ジンさんのことも馬鹿にして。
 最低だ。人として最低最悪。
< 174 / 192 >

この作品をシェア

pagetop