私の愛した彼は、こわい人
 以前までの私なら、こうやってコハルに慰められただけで感極まって泣いてしまったかもしれない。
 けれどもう、簡単には涙を流さない。前を向いて生きていくと決めたから。

「ありがとう。私はもう大丈夫」

 できるだけ明るく振る舞いたい。

「それよりごめんね、ビックリさせちゃって。コハルにも店長にも他の方々にも迷惑かけて……。怖い思いをさせてしまって、本当にごめんなさい」

 私が頭を下げようとした直前。唐突に、コハルは私に抱きついてきた。

「やめてよ。アスカはなんにも悪くないよ。アスカが元気でいてくれるだけであたし、嬉しいから。謝らないで」
「そうよ。鈴本さんが謝罪する必要なんてないわ。まだまだ大変なはずでしょう、こうして会いにきてくれてすごく感謝しているのよ」

 コハルや阿川店長の心遣いが嬉しい。胸がじんわりして、いい仲間に恵まれたと改めて実感した。
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