私の愛した彼は、こわい人
「もしかして、あの事件のこと気にしてるの? 大丈夫だよ。気にしなくていいって言ったじゃん。アスカが悪いわけじゃないんだよ。辞めないで」
「違うの、コハル」
「違う? じゃあどうして? アスカ、あんなに頑張ってたのに! エステの仕事が嫌になったわけじゃないでしょ?」

 違う。それは断じてない。

「エステの仕事は、誇りをもってやってきたよ。体力がある限りずっと続けたいとも思ってた」
「それなのに、どうして辞めるの……?」
「他に、やりたいことが見つかったの」
「やりたいことって?」
「──児童養護施設で、子どもたちの支援をしたいの」

 力強く私がそう言うと、コハルは口を閉じた。

「職員として、養護支援で生活する子どもたちのサポートをしていきたい。中途半端な気持ちじゃできないと思う。だからたくさん勉強して、子どもたちとしっかり向き合って、立派な支援員になりたいの」

 ──これは揺るがない、私の決意。
 私はなにか資格を持っているわけではないし、普段から幼い子たちと触れ合う機会もない生活をしてきた。
 だとしても。
 この世にいる全ての子どもたちが幸せになってほしい。
 私がそう語ると、コハルと店長は察したように静かに頷いてくれた。
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