私の愛した彼は、こわい人
 彼の言葉に、コハルと店長は何度も何度も頷いた。

「わかりました。アスカが戻ってこないのは正直すっごく寂しいけど……あたし、応援する!」

 また、コハルは涙目になってる。彼女の素直なところが、私は大好きだ。

「立派な志ね。わたしも鈴本さんのこと、応援するわ。エステティシャンを辞めても、お客さんとしてベル・フルールに来てくれてもいいのよ?」

 普段からあまり冗談を言わない店長の台詞に、私はなんだかくすぐったい気持ちになる。

「環境の変化で、もしもお肌にトラブルが起きたら相談に来ます」
「もちろん。いつでも遊びに来てね」
「そのときはあたしがアスカの施術に入る! 店長はカウンセリングをお願いしますねぇ!」

 最後の時間を惜しむように、私たちは冗談を言い合った。

 誇りを持っていたエステの仕事を辞め、ベル・フルールから離れるのはとても寂しい。
 けれど、快く送り出してくれる仲間たちの気持ちを受け取り、潔く自分の決めた道を進んでいこう。
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