私の愛した彼は、こわい人
東京赤坂に位置するレガーロ本社。近くの駐車場を訪れ、スムーズに車を停めると、神楽オーナーは無言で運転席から降りていった。
胸ポケットからおもむろに煙草を取り出しては、火を点けて吸い出す。
銘柄は、セブンスター。
私は無言で、その姿を眺める。
なんか、オーナーって怖いけど……甘いカフェオレを一気に飲む様とか、運転する横顔とか、煙草を吸う姿とかがスマートでちょっと様になってる。
遠くを眺めながら喫煙している彼の姿に、私は目が離せなくなった。
「おい」
パチッと、オーナーと視線がぶつかる。
「そろそろ行くぞ」
「は、はい」
吸い終わった煙草を片づけると、オーナーは後部座席に置いてあった紙袋を手に取った。
「持て」
手渡された袋の中にはレガーロの化粧水や乳液、美容クリームなどが入れられていた。
「なにに使うんです?」
「本部の人間に『事実』を吐き出させるため必要になる」
「事実……?」
あまり多くを語らないオーナーの返答に、私はどきまぎしてしまう。こういう場合、もっと深く訊いてもいいのかな? それとも余計なことは言わずにただ従っていればいいのかな。
迷う私の顔を睨むように覗き込むと、オーナーはこんなことを言う。
「お前、私情と仕事をごっちゃにするんじゃないぞ」
「はい?」
「もしも今日、お前の望むような結果にならなくても俺に逆らうな」
「なんの話でしょうか」
「エステティシャンとして、客のことを一番に考えろと言っている」
ちょっと待って……なんか、とてつもなく嫌な予感がするのですが。
言いたいことを言ってから、神楽オーナーはスタスタと本社に向かって歩き出す。私は慌ててそのあとを追った。
あぁ。神楽オーナーと二人でレガーロ本社にカチコミ……訪問。
どうか、この嫌な予感が当たりませんように。どんな大きな問題も起きず、今日を乗り越えられますように。
胸ポケットからおもむろに煙草を取り出しては、火を点けて吸い出す。
銘柄は、セブンスター。
私は無言で、その姿を眺める。
なんか、オーナーって怖いけど……甘いカフェオレを一気に飲む様とか、運転する横顔とか、煙草を吸う姿とかがスマートでちょっと様になってる。
遠くを眺めながら喫煙している彼の姿に、私は目が離せなくなった。
「おい」
パチッと、オーナーと視線がぶつかる。
「そろそろ行くぞ」
「は、はい」
吸い終わった煙草を片づけると、オーナーは後部座席に置いてあった紙袋を手に取った。
「持て」
手渡された袋の中にはレガーロの化粧水や乳液、美容クリームなどが入れられていた。
「なにに使うんです?」
「本部の人間に『事実』を吐き出させるため必要になる」
「事実……?」
あまり多くを語らないオーナーの返答に、私はどきまぎしてしまう。こういう場合、もっと深く訊いてもいいのかな? それとも余計なことは言わずにただ従っていればいいのかな。
迷う私の顔を睨むように覗き込むと、オーナーはこんなことを言う。
「お前、私情と仕事をごっちゃにするんじゃないぞ」
「はい?」
「もしも今日、お前の望むような結果にならなくても俺に逆らうな」
「なんの話でしょうか」
「エステティシャンとして、客のことを一番に考えろと言っている」
ちょっと待って……なんか、とてつもなく嫌な予感がするのですが。
言いたいことを言ってから、神楽オーナーはスタスタと本社に向かって歩き出す。私は慌ててそのあとを追った。
あぁ。神楽オーナーと二人でレガーロ本社にカチコミ……訪問。
どうか、この嫌な予感が当たりませんように。どんな大きな問題も起きず、今日を乗り越えられますように。