私の愛した彼は、こわい人
「わたしは、事実を教えてほしいんですよ」
オーナーは突然、私から社用のタブレットを奪い取る。画面をスクロールして、ある保存文書を呼び出した。
先ほど見ていた、レガーロ化粧品の成分表だ。
「これについて、土屋さんはどう思います?」
土屋氏はタブレットに目を向ける。数秒間眺めた後、ハッと目を開いた。
「こ、これは」
「サロンに置かせてもらっている化粧品の成分表ですよ。実は、ちょっとばかし調べさせてもらいました。商品の中身を」
「はい? 調べたとはどういうことですか!?」
土屋氏は急に大声を出した。
気にも留めない様子でまくし立てるオーナー。
「前オーナーからの伝手がありましてね。化粧品開発研究者に頼んだんです。レガーロ化粧品の配合物を詳しく調べるように」
「ま、まさか」
「おかしいですねえ。お宅の商品は香料、着色料、パラベン、アルコールフリーを謳っているはずだ。しかしどういうわけか、商品にパラベンとアルコール反応が出たそうで」
オーナーは成分表の一部を拡大させて土屋氏の目の前に置いた。
たしかに画面には、アルコール(エタノール)とパラベン(防腐剤)の文字が表示されていた。
嘘でしょ……。
「言い訳なら聞きますよ、土屋さん」
「えっ」
「どうぞ」
口調は穏やかなのに、オーナーの顔は全く笑っていない。とんでもなく鋭い目つきで静かに威嚇しているようにも見えた。
土屋氏は口をパクパクさせながらなにも言えずにいる。
もしかして。
アルコールやパラベンのせいで、敏感な方や乾燥肌のお客さんに色々と問題が起きていたの……?
「正直に答えてください。いつからアルコールとパラベンが使われていたんですか」
「それはっ」
口を結ぶ土屋氏だが、唾をゴクリと呑むと、意を決したように説明をはじめた。
「今年の、二月製造分からです。出荷は二月下旬から三月上旬でした」
「なるほど。時期的にも間違いないようですね」
そんな。まさか。
「別にアルコールが入っているからと言って品質が悪いとは思いません」
「は、はい……」
「ですが、パラベンに関してはまずいんじゃないですかねえ。内容量に対して二パーセント以上も含まれているようですが」
え……。二パーセントも? パラベンが、そんなに入ってるの?
オーナーは突然、私から社用のタブレットを奪い取る。画面をスクロールして、ある保存文書を呼び出した。
先ほど見ていた、レガーロ化粧品の成分表だ。
「これについて、土屋さんはどう思います?」
土屋氏はタブレットに目を向ける。数秒間眺めた後、ハッと目を開いた。
「こ、これは」
「サロンに置かせてもらっている化粧品の成分表ですよ。実は、ちょっとばかし調べさせてもらいました。商品の中身を」
「はい? 調べたとはどういうことですか!?」
土屋氏は急に大声を出した。
気にも留めない様子でまくし立てるオーナー。
「前オーナーからの伝手がありましてね。化粧品開発研究者に頼んだんです。レガーロ化粧品の配合物を詳しく調べるように」
「ま、まさか」
「おかしいですねえ。お宅の商品は香料、着色料、パラベン、アルコールフリーを謳っているはずだ。しかしどういうわけか、商品にパラベンとアルコール反応が出たそうで」
オーナーは成分表の一部を拡大させて土屋氏の目の前に置いた。
たしかに画面には、アルコール(エタノール)とパラベン(防腐剤)の文字が表示されていた。
嘘でしょ……。
「言い訳なら聞きますよ、土屋さん」
「えっ」
「どうぞ」
口調は穏やかなのに、オーナーの顔は全く笑っていない。とんでもなく鋭い目つきで静かに威嚇しているようにも見えた。
土屋氏は口をパクパクさせながらなにも言えずにいる。
もしかして。
アルコールやパラベンのせいで、敏感な方や乾燥肌のお客さんに色々と問題が起きていたの……?
「正直に答えてください。いつからアルコールとパラベンが使われていたんですか」
「それはっ」
口を結ぶ土屋氏だが、唾をゴクリと呑むと、意を決したように説明をはじめた。
「今年の、二月製造分からです。出荷は二月下旬から三月上旬でした」
「なるほど。時期的にも間違いないようですね」
そんな。まさか。
「別にアルコールが入っているからと言って品質が悪いとは思いません」
「は、はい……」
「ですが、パラベンに関してはまずいんじゃないですかねえ。内容量に対して二パーセント以上も含まれているようですが」
え……。二パーセントも? パラベンが、そんなに入ってるの?