私の愛した彼は、こわい人
彼に名前で呼ばれただけで心があったかくなった。なんだか不思議な感覚だ。
私もオーナーに続いて車から降りようとして、ドアに触れる。
あ……そういえば。
そこでふと、思い出した。裸足で来てしまったことに。
家を出たとき、靴を履く余裕なんてなかった。無我夢中で逃げ出して、車まで走ったんだっけ。
足裏が僅かに擦れている。
「あの、神楽オーナー」
「ん?」
「ごめんなさい。裸足で来てしまいました」
私が頭を下げると、オーナーはゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。
「大丈夫か?」
「え」
「怪我はしてないか」
「あ、はい。それは、大丈夫です」
彼の意外な声がけに、私は息を呑む。
「アパートに取りに戻るわけにはいかないし、こんな時間に店が開いてるわけでもないしな。参った」
オーナーは数秒悩む素振りを見せた後、急に私から背を向けてしゃがみ込んだ。
「来いよ」
「どうしたんですか?」
「背負ってやる」
……えっ。えぇえ? 背負う、ですって!?
なにを言い出すの。
「ボケッとするな。早く乗れ」
「……で、でも、私、このままでも歩けます!」
「裸足で? 汚えし危ねえよ」
「そ、そうですけど。さっきも裸足で走りました」
「ごちゃごちゃ言ってねえで、さっさと来い」
だけど、だけど! 恥ずかしいです、いくらなんでもこの歳でおんぶだなんて!
そう言おうとしたら、オーナーはこちらに体を向けた。サッとこちらに両手を伸ばし、腰を抱き寄せてくる。
と思ったら。突如として視界が浮き上がった。
……え? えっ? なに。なにこの状況!?
ちょっと待ってちょっと待って!
オーナーに横抱きされている。つまり、お姫様抱っこされている……!
「これでいいか」
よ、よくない! ぜんっぜんよくないんですけど!?
私もオーナーに続いて車から降りようとして、ドアに触れる。
あ……そういえば。
そこでふと、思い出した。裸足で来てしまったことに。
家を出たとき、靴を履く余裕なんてなかった。無我夢中で逃げ出して、車まで走ったんだっけ。
足裏が僅かに擦れている。
「あの、神楽オーナー」
「ん?」
「ごめんなさい。裸足で来てしまいました」
私が頭を下げると、オーナーはゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。
「大丈夫か?」
「え」
「怪我はしてないか」
「あ、はい。それは、大丈夫です」
彼の意外な声がけに、私は息を呑む。
「アパートに取りに戻るわけにはいかないし、こんな時間に店が開いてるわけでもないしな。参った」
オーナーは数秒悩む素振りを見せた後、急に私から背を向けてしゃがみ込んだ。
「来いよ」
「どうしたんですか?」
「背負ってやる」
……えっ。えぇえ? 背負う、ですって!?
なにを言い出すの。
「ボケッとするな。早く乗れ」
「……で、でも、私、このままでも歩けます!」
「裸足で? 汚えし危ねえよ」
「そ、そうですけど。さっきも裸足で走りました」
「ごちゃごちゃ言ってねえで、さっさと来い」
だけど、だけど! 恥ずかしいです、いくらなんでもこの歳でおんぶだなんて!
そう言おうとしたら、オーナーはこちらに体を向けた。サッとこちらに両手を伸ばし、腰を抱き寄せてくる。
と思ったら。突如として視界が浮き上がった。
……え? えっ? なに。なにこの状況!?
ちょっと待ってちょっと待って!
オーナーに横抱きされている。つまり、お姫様抱っこされている……!
「これでいいか」
よ、よくない! ぜんっぜんよくないんですけど!?