私の愛した彼は、こわい人
軽々しく私を持ち上げるオーナーは、表情を一切変えずにそのまま歩き出そうとする。
逞しい腕がしっかりと私の全身を支え、スーツを隔てて厚い胸板が頬に触れた。いつもとは違う角度で見上げる彼の顔は、なんだか今日は怖いと言うより……なんていうんだろ、ちょっと、かなり、だいぶ男らしくて色っぽい。
ああっ、待って! 見惚れてる場合じゃない。立派な筋肉を肌で感じている場合でもないの!
「オーナーすみません!」
「なんだ」
「やっぱ恥ずかしいです! 今からでもおんぶに変えてもらえませんか……?」
「は。最初から背負われてりゃよかったろ。わがままな女だな」
「すみません……」
私が泣きそうな声で平謝りすると、オーナーは小さく笑った。
……仕事中は絶対こんな風に笑わない人なのに。プライベートになると表情が柔らかくなるのはずるい。
オーナーは私を背負い、軽やかに歩き出す。
その背中は、やっぱり逞しくて。ほのかに香るセブンスターの匂いが私の鼻をくすぐる。
でも、外に出るとそれはそれは地獄で。チラチラと通行人に見られてしまい、恥ずかしい想いをするハメになった。
周囲の視線に耐えられず、私は彼の大きな背中に顔を埋めた。
このとき、またもや不思議な感覚に陥る。
心が、これ以上ないほど落ち着いたから。
逞しい腕がしっかりと私の全身を支え、スーツを隔てて厚い胸板が頬に触れた。いつもとは違う角度で見上げる彼の顔は、なんだか今日は怖いと言うより……なんていうんだろ、ちょっと、かなり、だいぶ男らしくて色っぽい。
ああっ、待って! 見惚れてる場合じゃない。立派な筋肉を肌で感じている場合でもないの!
「オーナーすみません!」
「なんだ」
「やっぱ恥ずかしいです! 今からでもおんぶに変えてもらえませんか……?」
「は。最初から背負われてりゃよかったろ。わがままな女だな」
「すみません……」
私が泣きそうな声で平謝りすると、オーナーは小さく笑った。
……仕事中は絶対こんな風に笑わない人なのに。プライベートになると表情が柔らかくなるのはずるい。
オーナーは私を背負い、軽やかに歩き出す。
その背中は、やっぱり逞しくて。ほのかに香るセブンスターの匂いが私の鼻をくすぐる。
でも、外に出るとそれはそれは地獄で。チラチラと通行人に見られてしまい、恥ずかしい想いをするハメになった。
周囲の視線に耐えられず、私は彼の大きな背中に顔を埋めた。
このとき、またもや不思議な感覚に陥る。
心が、これ以上ないほど落ち着いたから。