私の愛した彼は、こわい人
 オーナーにカウンター席に座るよう促され、私は渋々彼と並んで腰かけた。

「こいつはユウキ。Barオアシスのバーマネージャーだ」
「一見さんはお断りなんだけどねえ。まあ、ジンが連れてきたなら文句は言えないけどさ。あたしたち、ニコイチで八年間ここを営んできたのよ。ジンとはガキの頃からの付き合いでね……」
「俺らの話はいいんだよ」
「え~。ちゃんとこの子に教えてあげなきゃ! どれだけあたしたちがラブラブなのかってことをさ!」
「勘違いさせるな」

 ひっどーい、と言いながらユウキさんは彼の肩をバシバシ叩く。
 苦笑いするオーナーと、キャッキャとはしゃぐユウキさん。
 オーナーに、こういうお友だちがいたんだね。なんだか微笑ましい。

「ユウキさん。突然来てしまってすみません。私、神楽オーナーに助けてもらったんです。彼氏と……喧嘩してしまって」
「は。喧嘩だと?」

 横目で私を睨みつけるオーナー。

「お前、正気か。あんなのどう考えてもDV(・・)だろ」
「えっ」
「一方的に罵られてしかも暴力まで振るわれて。モラハラもあるな。なにが喧嘩だ。そんな生ぬるいもんじゃねえ」

 ……DV。モラハラ。
 まさか。
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