私の愛した彼は、こわい人
 翌朝。
 カーテンの隙間から射し込む朝陽に照らされ、目を覚ます。ふかふかの布団の上で迎える朝は、ものすごくスッキリして爽快だ。
 自分には大きすぎるガウンを着ていて──部屋を見回すと、広いリビングの中にいた。
 壁に掛けられたデジタル時計は八時を知らせている。
 上体を起こすと、自分の髪からほんのりとセブンスターの香りがした。

「神楽オーナーの家に泊めてもらったんだよね」

 昨日は布団とガウンをお借りしてリビングで寝かせてもらったんだ。
 タクトから逃げ出してきたことや、オーナーの家に泊めてもらったこと、それに──昨晩ここで起きたことなどが頭の中によぎった。
 どういうわけか、私は彼とハグをした。キスやそれ以上のことは一切していない。ただただ、抱きしめ合った。お互いのぬくもりを分かち合うように。
 どんな意味があったのかわからないけれど、心が安らいだのはたしか。
 思い出しただけで胸の奥が熱くなる。
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