私の愛した彼は、こわい人
そう思っていると。やがてオーナーがベッドルームから戻ってきた。
私は涙を呑み、なにごともなかったかのような素振りをしてみせる。
ゆっくりとこちらに近づいてくるオーナーは、おもむろに私の隣に立った。
「アスカ。そんなに悲しむな」
仕事中には絶対に聞けない、優しさに満ちた声色。
「たとえ御守りがなくなっても、代わりに俺がアスカを守る」
「……え」
「だから、元気出せ」
彼なりの優しさなのだろう。思いやりに胸があたたかくなる反面、少し複雑だった。
「ありがとうございます。……でも、大丈夫ですよ」
いくらオーナーに励まされても、リュウお兄さんの代わりにはならない。
豚肉が茶色くなってきた頃にゆっくりと溶き卵を全体にかけた。フライパンに蓋をして数分もすれば出来上がりだ。
ついでにサラダも作ろうと冷蔵庫に向かうが。彼に行く手を阻まれてしまう。
……なに?
戸惑う私の目の前に、オーナーはサッとなにかを差し出した。
彼が手に持つ物を見て、私は目を見開く。
懐かしい記憶が、一気に蘇った。と同時に、なぜ神楽オーナーがそれを持っているのか理解できなかった。
「オーナー? どうして。あなたが持っているんですか……?」
私の問いに、オーナーはふっと微笑み、一音一音ハッキリとした口調でこう言った。
「俺が、リュウだからだよ」
──彼の手のひらには、私がリュウお兄さんに渡したはずのドラゴンが握られていたのだ。
私は涙を呑み、なにごともなかったかのような素振りをしてみせる。
ゆっくりとこちらに近づいてくるオーナーは、おもむろに私の隣に立った。
「アスカ。そんなに悲しむな」
仕事中には絶対に聞けない、優しさに満ちた声色。
「たとえ御守りがなくなっても、代わりに俺がアスカを守る」
「……え」
「だから、元気出せ」
彼なりの優しさなのだろう。思いやりに胸があたたかくなる反面、少し複雑だった。
「ありがとうございます。……でも、大丈夫ですよ」
いくらオーナーに励まされても、リュウお兄さんの代わりにはならない。
豚肉が茶色くなってきた頃にゆっくりと溶き卵を全体にかけた。フライパンに蓋をして数分もすれば出来上がりだ。
ついでにサラダも作ろうと冷蔵庫に向かうが。彼に行く手を阻まれてしまう。
……なに?
戸惑う私の目の前に、オーナーはサッとなにかを差し出した。
彼が手に持つ物を見て、私は目を見開く。
懐かしい記憶が、一気に蘇った。と同時に、なぜ神楽オーナーがそれを持っているのか理解できなかった。
「オーナー? どうして。あなたが持っているんですか……?」
私の問いに、オーナーはふっと微笑み、一音一音ハッキリとした口調でこう言った。
「俺が、リュウだからだよ」
──彼の手のひらには、私がリュウお兄さんに渡したはずのドラゴンが握られていたのだ。