私の愛した彼は、こわい人
 大きな手で私の髪を梳いたあと、彼は穏やかな口調になる。

「それに、俺を真っ当な人間にしてくれたのはユウキたち家族のおかげだ。養子縁組を結ぶことはしなかったが、今でもユウキや母親のことは家族だと思っている。ユウキはうるせぇ奴で絡みがウザいときもあるが、根は面倒見のいい人間なんだ」

 束の間、オーナーの頬が緩んだ。
 初めて知った。オーナーの過去も。リュウお兄さんの未来も。彼の「家族」のことも。
 なんともあたたかい気持ちになった。

「色々あったが、ベル・フルールを受け継いでアスカと再会したことだけは、さすがに俺も想定していなかった」
「本当ですね。もう一度お会いできて嬉しいです」

 名前も雰囲気も変わっていたとしても、彼と再会した事実は変わらない。彼の手に握られるドラゴンを見て、懐かしさが溢れて仕方がなくなる。
 けれど、オーナーは渋い表情を浮かべた。

「俺は、大人になったお前を見てガッカリしたよ」
「え……どうしてですか?」
「ガキの頃となんにも変わらない。バカな男になぶられてんじゃねえか。どうしようもないよな」
「それは……ごめんなさい」
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