私の愛した彼は、こわい人
 予想もしないことをいきなり言われ、私は慌てながらもそっとグラスをテーブルに置く。
 あ、危なっ……。むせるところだった。
 ニヤニヤしながらユウキさんはじーっと私を見つめる。あ、穴が開きそうなんですが……

「なんのことですっ?」
「とぼけるんじゃないわよ! 一緒に暮らすことになったんでしょ」
「そうなんですけど……付き合ってはいません」
「そうなの?」

 スン、と、ユウキさんの顔が曇る。

「同棲してるのに付き合ってないって?」
「オーナーの善意ですよ。タクトとは別れましたけど、心配してくれてるんだと思います」
「ふーん? でもさ、やることはやったんでしょ?」
「え……やること? してませんよ!?」

 ユウキさんったら。なに言い出すの……!
 あからさまに残念な態度を取られても困ります。

「寝るときも別室ですし、食事以外は基本的に個々で過ごすようにしています。彼、ご自宅でも仕事をされていて忙しそうですし」
「あっそう。焦れったいわねえ、あんたたち」

 そんなこと言われましても……。彼の気持ちもわからないのに。
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