モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています


「なぜ山科に返事をしない?」
「……なんのことよ?」
「結婚を申し込まれているだろうが」
 しらばっくれるあかりに、雅人はいきなり確信をつく。
 どこまで筒抜けなんだ、とあかりが頭を抱えた時、廊下で聞き耳を立てていたのだろう幸人がもう一つの問題を火種を持って部屋に飛び込んできた。

「ちょっと待てよ、あかり! 前の男とは別れたんだろう? ってか理貴からプロポーズしたって聞いてるぞ!?」
「……なに!?」
 どすの利いた低い声で答えた雅人と、混乱して追求する幸人に挟まれているあかりを助けてくれる人物は、この場にはいなかったのだった。
< 100 / 230 >

この作品をシェア

pagetop