モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
「そのへんにしなさい」
警察官を引退こそしているがまだまだ現役同様貫禄のある祖父の言葉に、皆一様に姿勢を正す。
「あかりが決めることだ。周りがやいのやいの言ってどうする」
祖父には誰も反論できない。喧嘩していた雅人と幸人も、騒がしくしていた両親も一様に口を閉ざした。
「あかり」
「……はい」
祖父に呼ばれてあかりは顔を引き締める。祖父は諭すようにあかりに伝える。
「あかりに気持ちを伝えている二人に誠実に向き合いなさい。選べる立場であることを有り難く思い、真摯に向き合うことだ」
仕事が忙しいことを理由として、問題から逃げているあかりを見透かしているような祖父の言葉である。
あかりは射るような眼差しを向けてくる祖父から視線を逸らすように俯いて、送られた言葉を噛みしめた。
「その二人を結果的に選ばなくても良い。だが、どちらも軽い気持ちで結婚を申し込んではいないはずだ。ならばあかりも同じくらい真剣に考えて答えを出しなさい。それが責任というものだ」
「……わかりました」
あまりにも正論の祖父の言葉に、あかりは絞り出すように返事をしたのだった。