モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています



 ※ 

「なんで辞めたの、仕事」
 母と並んで後片付けをしながら、あかりは訊ねた。
 男性陣は酒を酌み交わしながら、昨今の事件について討論を繰り広げていた。あかりも比較的酒には強いが、底なしに飲める男たちに付き合っていると際限がない。片付けを手伝うという名目で母と台所に引っ込むのはいつものことであった。
 母はあかりの問いにすぐには答えなかった。黙々と残りの洗い物を終わらせ、あかりにお茶を淹れるとダイニングテーブルに座るように命じる。

「結婚したら、子どもができたら、花形部署で働けないから、かな」
 前置きもなく切り出した母の言葉を、あかりは真剣な面持ちで聞く。
「あのまま結婚しなくても男性の中で婦警として仕事を続けていても先が見えたのよ。「あぁ、結局上にはいけない」って。まぁ、時代もあったしね」
 あかりは言葉に詰まる。だいぶ雰囲気は変わってきているとはいえ、まだまだ男性優位の縦社会だ。女性の絶対数が少ないため、出産、育児を経て負荷が少ない部署への異動は容易だ。だが、育児をしながら独身の時と同じように仕事第一で働こうと思った場合、男性より女性の方が難しくなる。
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