モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
まず、配偶者の協力は不可欠なのに、女性警察官の配偶者の多くは同僚の警察官だ。どちらかが仕事に専念する、となったら大抵は男性だ。母の時代なら尚更だろう。
「あと、父親が頭を下げて頼んで来たのもあるしね。「俺は仕事優先でいい父親にはなれない。だから、俺の代わりに君が家を守ってほしい」ってね」
どこかで聞いたようなセリフだ。あかりはポツリと呟いた。
「やっぱり警官同士なら、どっちかが仕事辞めないといけないのかな……?」
「そんなことないわよ」
あかりの言葉を一蹴した母親は、どこか達観した顔で答える。
「辞めたのは、私がそうしたかったの。もちろん後悔が全く無かった、とは言わないけれど、自分が上に行くよりあの人に私の夢を託したほうが手っ取り早いからそうしただけよ。あの人も約束を守って叩き上げにしたら出世した方だしね」
あかりは頷く。ノンキャリアの父が警視の地位にたどり着くのは容易ではなかっただろう。普通ならせいぜい高卒の警察官が出世しても警部止まりなのだから。