モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
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「あかり、聞いてる?」
「……聞いてる」
あかりは上の空で答えながらじゅうじゅうと肉を焼く。
祖父と父母に挨拶して家路に急ごうとしたあかりは、帰り際に幸人に捕まったのだ。そして焼肉屋まで引っ張り込まれた。「久しぶりに会ったんだぞ」という幸人は、あかりに奢らす気満々だ。文句をいうと「俺の方が階級が低い」と威張る始末だ。
まだ巡査の幸人と比べると、巡査部長のあかりの方が階級は高い。渋々ながら奢ることに同意した途端、幸人はちゃっかり一番高い食べ放題のコースをオーダーしたのだ。
飲み込むように食べている幸人を見ると、一番下のコースでも良かったのではと思わなくもないが、いい食べっぷりを披露している弟にツッコむ気力は残っていなかった。
それに出来上がった肉は片っ端から幸人の腹に入っているのだ。今度こそは奪われてなるものか、と真剣に肉とにらめっこしているあかりに幸人は問いかける。
「理貴とキスしたんだって?」
「なっ……」