モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
「あかり」
颯の声が飛んでくる。彼の声は心地良い。この声を聞いているだけで幸せだと思っていた時もあったのに、今は聞きたくない。
なのに、勝手に彼の言葉が耳に入ってくるのだ。
「なにか聞きたいことあるんだろう?」
「なんで……?」
颯は苦笑する。その顔ですぐに分かった。雅人が耳打ちしたのだろう。
そこで全て悟った。今日早野があかりを誘ったのも、いつまでも動く様子のない二人に苛立った雅人の策略なのだと。
じゃないと都合よく颯は現れない。
「……の、クソ兄貴!」
ぶっと吹き出した颯に、あかりは自分の心の声が口をついていたことに気づいて頬を染める。ツボにハマったのか、俯いてしばらく肩を震わせて笑っている颯を睨みつけながら、あかりは改めて思う。
(やっぱり、好みだなぁ……)