モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています


 同時に理貴のことも頭に浮かんではくるのには困るけれど。颯は心の底から惚れて初めてを捧げた男性なのだ。そんな颯に自身から別れを告げた以上、忘れなければと思いこんでいたけれど。
 声も体格もやはり、颯はあかりの好みの男であることは変わりない。
 あかりは別れてから初めて、付き合っていた頃のように自然体で颯と向き合っていた。

 二人の間に交際していた時のような穏やかな空気が流れる。このまま何事もなく過ごせれば、とあかりが頭の片隅で考え始めたのを遮るように、颯はおもむろに切り出した。

「今更なんだが、オレが頑なに結婚を決断できなかった言い訳を……。オレの生い立ちを聞いてくれないか?」

 あかりは息を呑む。颯が切り出した内容はあかりが聞きたかった、いや、聞かなければならない話だったからだ。
 雅人にけしかけられたから渋々切り出したのだろう。颯の瞳は珍しく迷うように揺れていた。

 (……聞きたくない)
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