モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています

「一歳頃までオレの家は神戸にあった。……意味はわかるな?」
「阪神淡路大震災……」
「そっ。被災者なんだ、オレ。まぁ、覚えてはいないし、運よく大阪市内の祖父母のところに預けられていたから被害には合わなかったけど、共に別夜勤の任についていた両親はアウトだったらしい。結婚している関係上、それぞれ別の所轄での勤務だったんだが、運悪くどちらも被害が大きい場所だったそうだ」
 言葉を失っているあかりに苦笑した颯は向かいから手を伸ばして頭を撫でる。
「そんな顔するなって。今の両親は、母親の姉夫婦で、実子と分け隔てなく育ててくれていた。だから俺自身、中学の時に偶然戸籍謄本を見るまで、養父母が実の親だと思っていたくらいだ」

 颯はそう言うと、胸ポケットから電子タバコを取り出して口に咥えた。一口二口吸うと、すぅ、と吐き出す息と共に言葉を押し出した。
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