モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています

 
「高校に入ってから警察官になりたい、と告げた時は、養母に泣きながら引っ叩かれたよ。「なんで同じ道を歩もうとするの!?」ってな」
「颯さん……」
 思わず声をかけたのは、颯が一瞬ツラそうに眉を寄せたからだ。
 颯は軽く首を振ると、新しいタバコを咥えなおした。吐く息と共に続きを話し出す。
「しまった、という顔した母に、知っているというとまた引っ叩かれてな。「なんですぐ言わないの」って。……あの時はエラい目にあった」
 思い出したように笑う颯は遠い目をしたきり黙って残ったタバコを吸いはじめた。しばらく沈黙した颯が何を考えていたのか、あかりには読み取れなかった。
 颯もあかりに何かを言ってほしいとは思っていなかったようで、吸い終わるなりサラリと続きを口にする。
「まぁ、泣かれてもシバかれても警察官になりたい意志は変わらなかったし、最終的には家族は折れてくれた。だけど、その時母親が言ったんだ」
「なにをですか?」
「「警察官になるならアンタは一生独り身でいなさい」って。それくらいの覚悟を持って奉職しろってことだったんだろうが、当時のオレはまだ高校生で、結構ガツンと響いた」
「……そう、ですか」
 颯の言葉にあかりは、どう答えたらいいかわからなかった。
 
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