モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
警察官は事件や事故が起こらないと忙しくならない。でも、そんな日は皆無である。
毎日大なり小なり事件や事故は起こっている。この瞬間にも。今でも小さい出来事には手が回らないくらいなのに。
平和な日常を求めているのは市民も警察官も同じだ。皆が少しでも安全に暮らしていくためには、ある意味仕方ない部分もあるのだ。
それで自らの家庭が壊れるのは本末転倒だと思わなくもないが、一警官として勤めているあかりは仕事熱心な人ほどバツがついたり、独身だったりする状況を痛いほど知っていた。
あかりの思考を読んだかのように、颯が話しだした。
「オレは器用な人間じゃない。付き合っていたから知っているだろが、今の仕事を全うしながら、家庭を両立する器用さは持ち合わせていない。気になる事件があれば自主的に残業するし、帳場が立てば何日も家には帰らない。そのことを当たり前だと受け入れてプライベートを犠牲にしているという感覚もない。わかるだろう?」
「……はい」
あかりは頷く。颯の性格は嫌というほど知っているのだ。あかりが見てきた颯は優秀な警察官にはなれるだろうが、家庭を大事にする夫や父親という役割には向いていないのは事実である。