モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています

 あかりは再び息を飲む。颯のぶつけてくる言葉の衝撃で、目の奥が熱くなる。
「覚悟は決めていたんだ。あかりと付き合うのは、将来を見据えての付き合いになる。分かっていて、自分の意志を曲げてまで手に入れたいと強い衝動に駆られていたのに、いざあかりに結婚を仄めかされ、怖気付いた。足が竦んだんだ」
 自嘲するように笑うと颯は、ふぅと息をついた。
「結婚を了承する言葉が出てこない自分に愕然とした。だが、きっと本音なのだろうと。だから一旦距離を置こうと別れを受け入れたんだ」
 自嘲するように笑った颯にあかりはかける言葉が見つからなかった。颯の口調は、自身を責めるようなものに変わる。
「それに高を括っていたところがあった。一度離れたとしてもあかりはまだオレに気持ちが残っているだろうと。オレを差し置いてあかりを口説く男なんか現れないだろうと」
「……颯さん」
 震える声で呼びかけたあかりを振り払うように、プロポーズをした時と同じような決意を秘めた顔をした颯は、真っ直ぐにあかりを見据えた。
< 131 / 230 >

この作品をシェア

pagetop