モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
あかりはビールを飲みつつ、理貴の様子を伺った。
幼馴染の中で一番の出世頭の理貴である。いつも自分の周りにいる人間とは毛色の違う人種である理貴だ。人間としては俄然興味をそそられる存在である。
恋愛の話はイヤだけど、引っ越してからの理貴の話は是非とも聞いてみたかった。
なぜ今も幸人と交流があることも含めて、企業したきっかけとか、社長業のこととか聞きたいことは山ほどある。
前回は全くその辺のことは話す時間がなかったのだから。
「理貴ってさ……」
あかりが口を開いた瞬間、携帯が震えた。
「っと、ごめん」
(あちゃー)
見なくてもわかる。職場からだ。
今日は定時で上がれたときから嫌な予感がしていたのだ。そしてそういう時の勘だけは、いやというほど当たる。
席を外し電話を受ける。案の定、呼び出しだった。
まだビールしか飲んでいないのに。
だけど、仕事最優先だ、仕方ない。
「ごめん、呼び出しだから戻る」
財布を取り出そうとするあかりの手を押し留め、理貴は声をかけた。
「気にしないで、また今度埋め合わせよろしく。……急ぎだよね、ここは払っておくから早く行きなよ」
「ありがとう!」
挨拶もそこそこにあかりはカバンと脱いでいたジャケットを手に取ると店を飛び出した。