モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
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――上からの命令は絶対だ。だが、自ら考えることを放棄して、人に流されるまま意志を決めるのを良しとするならお前はこの職務に向いていない。今すぐ警察官を辞めるべきだ。
初めて出会った時、仕事に情熱を失っているあかりに、機動隊所属だった颯は淡々と辛辣な言葉をかけたのだった。
かぁっと顔が熱くなる感覚は今でも覚えている。思いっきり叩かれ、頭ごなしに叱責を受けたほうがよっぽど気が楽だった。
だが颯の一言は、あかりに羞恥心を芽生えさせると同時に迷いを消し去った。
諭した颯の目がが中途半端なあかりをバカにした感じではなく、真剣に彼女のことを考え抜いた結果だと訴えていたからだ。
それまでのあかりは、早く取り立ててもらえるように焦っていた。
父も兄も弟ですら早々に仕事で結果を出しているのに、あかりはまだ何も持っていなかった。
高卒で警察官試験に合格したから、大卒で三歳年上の兄より早く警察官になったのに。大卒の方が出世は早いと聞いているが、兄はとっくに自身の希望している刑事課に配属になっている。
三つ下の弟ですら夢への一歩を踏み出して、この春から希望している白バイ部隊に配属になった。