モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
まだ地域課のままなのは、身内ではあかりだけ。
警察官が必ず最初に配属される地域課の仕事は多岐に渡る。
それらの仕事は嫌いではない。けれど、あかりは次の目標を見つけられていなかったのだ。
警察官になるのが夢であったけれど、どんな警察官になりたいかまで考えていなかったのだ。
兄の雅人のように刑事になりたいという夢も、弟の幸人のように箱根駅伝の先導をしたいと熱望することもなく、ただ、警察官になりたいというだけで進路を決定してきたのだ。
地域課の仕事は嫌いではなかった。人に感謝されることは職業柄少ないけれど、パトロールして町の雰囲気を見るのは好きだったし、問題を解決したら感謝をされる。たまに子どもたちに憧れの眼差しを向けられるのはむず痒いけれど、嬉しくて堪らなかった。
一方で人間の汚い部分を見せられて心を折れてもいた。
取り締まっても感謝されることはまずない。舌打ちされて暴言を吐かれて、時に女であることで舐められて。
当初持っていた熱意は三年以上勤めた結果、すっかり枯れていた。
ただ上が命じたことを淡々とやればいい。間違いはないのだから。