モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
「もう切るよ」
強制的に話を終わらせようとするあかりに、最後に、と理貴が付け加える。
『警察庁選ばなかった理由、もう一つあるんだ』
「……なによ?」
『組織に縛られるより、今の方が時間の自由がきく。だからいつでも――といっても今海外にいるから説得力は低いんだけど――あかりちゃんに会いに行ける』
「ばっ……かじゃないの!?」
そんな理由で警察庁は蹴る場所ではない。警察庁といえばあかりが所属している警視庁よりも上、すべての都道府県をまとめ上げる組織である。
都道府県警察が地方公務員なのに対して、警察庁は国家公務員になるし、難易度も段違いだ。簡単に受かる試験でもない。あかりはそんな理由でアッサリ辞退する理貴が信じられなかった。
理貴はあかりの抗議を笑って受け流す。
『帰ったら連絡するよ。会ってくれるよね?』
「忙しいから無理」
『大丈夫、夜中でも合わせるからさ』
「いや、だって……」
つい口から出そうになった恋人でもないし、という言葉は飲み込んだのに、察しのいい理貴は気付いたようだった。再び笑うとあかりに言った。
『そんなに構えなくても。ただお土産を渡すだけだよ。幼馴染だし夜中に会っていてもおかしくないでしょ?』
都合よく幼馴染というワードを使う理貴に、呆れたあかりは反論することなく、そっと電話を切ったのだった。