モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
『私が撮影以外で早見さんとお会いしたのは、広告完成を祝して彼女と制作会社の方を会食に招待した日のみです。掲載された写真は会食当日のもので他に弊社の人間も側におりましたが、私の注意が至らなかったため二人きりのように見える距離で彼女と接してしまい、誤解を招く事態になりました。彼女の経歴に傷をつけてしまいましたことをお詫び申し上げます。改めて申し上げますが彼女と交際の事実はありませんし個人的な連絡先は存じ上げません。やり取りもしておりません』
そこで画面はスタジオに切り替わったの期に、あかりはテレビの電源を切る。
穏やかな口調ではあったが、理貴は怒っていた。
(なんでよ……)
理由はすぐに思いつくのに、あかりはそのことを認めたくなかった。認めてしまえば、颯に振れた天秤がまた、理貴の方に傾いてしまいそうになるから。
ふと携帯を見ると、通知を知らせるランプがついていた。
颯と幸人、そして。
(理貴……)
名前を見るだけで心が乱れてしまう。あかりは彼のメッセージだけ既読をつけることができなかった。
(このままじゃ、だめになる……)
ガシガシと頭を掻いたあかりは長く息を吐くと、おもむろに電話をかけはじめた。
「早野さん。あのですね……」
早野の了解を取った二時間後、あかりの姿は実家の隣に建っている剣道場にあったのだった。