モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
口に入れていたスパゲティを吹き出さなかったのは奇跡的だった。とっさに飲み込んで盛大にむせる羽目にはなったあかりに、祖父は涼しい顔をしてコーヒーを飲んでいる。
「思い当たるだろう?」
ダメ押しの一言に、あかりは頷くしかない。誤魔化したところで祖父にはお見通しなのだ。祖父はアゴをしゃくってあかりに喋るように促す。
あかりの行動を見透かすような祖父に、ホッとする。
どうしようも無くなった時、あかりが頼るのは祖父だ。親友の結でも両親でも、兄弟の中で一番信用している次兄の拓人でもなく、祖父だった。
祖父からは自分で考えろ、と一旦言われるのがオチだ。しかし、長く警視庁で叩き上げの刑事として現場畑を勤め上げた祖父に聞いてもらうだけで、あかりは自身の考えを整理することができるのだ。
それに祖父のことだ。一旦突き放したフリをして、あかりが気づくきっかけになるようなことを口にしてくれる。
だからいつもあかりは祖父に悩みを吐露するのだった。