モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています

 理貴が呼びかける。あかりが答えると、理貴は何かを押し殺すような声だ。そっと理貴は押し出す。
『あかりちゃんは昔から()()()()()()()()()()()()()物事を深く考えすぎるけれど、もっと周りを頼っていいんだよ。そのために僕は……』
 その先の言葉は小さすぎてあかりの耳には届かなかった。理貴が何を言おうとしたのかわからない。あかりは少しだけ逡巡した。
「理貴は買いかぶりすきだよ、私のこと」
『そんなことはないよ。あかりちゃんの本質は昔から変わっていない』
 力強く断言する理貴の勢いに押されたあかりは、思わず肯定してしまう。
「そう……かなぁ?」
『うん。昔、僕が虐められていたのに気づいて、それとなく道場で居場所を作ってくれた頃からあかりちゃんは変わっていない』
 同意しようとして、はたと気付いた。

 ――このことは理貴には内密にしていたんじゃなかったのか?――

 あかりの戸惑いを察した理貴は電話口で笑う。

『小学生ができることって限られてるし、ほら僕、聡い方だったじゃん?』
 サラリと頭の良さを自慢する理貴だが、あかりはそれどころではない。当の本人にバレバレだった事実は、過去のこととはいえ顔から火が出そうだ。
 一人恥ずかしさに悶えているあかりに理貴は寂しそうに伝えた。

『待っているから。だから……』
 小さくなった理貴の声に、あかりは「うん」と囁くように返事をしたのだった。
 
 
 
 
 
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