モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています

譲れないプライドと欲しい言葉


 ヘトヘトで家についたはずなのに、あかりは寝れる気がしなかった。
 心に引っかかっているのは、颯のこと。

 颯の行動は理解できる。早野の言っている言葉もわかる。
 それでも胸によぎるのは暗い感情なのだ。

 (私が、「女」じゃなければ……)

 自身が警察官で在りたいと望む以前に、()として見られる。
 性別は変えられないし、今までだって()()()()と舐められることもあった。逆に()()()()として分不相応に取り立てられることも。
 だからモヤモヤしても仕方ないのに、気分が昂っているからか、あかりはうまく飲み込めなかった。

 一人でグルグル考え込んでいたあかりは、ふと理貴のことを思い出す。具体的にいうと、理貴の言葉を。
 警察庁になぜ入庁しなかったのか問いただしたあかりに、確か彼はこう言っていたのではないか。
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