モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
――あかりちゃんに、自身が理想とする警察官でいて欲しいから。――
と。そして、続けてこうも口にした。
――同じ職場でも俺はあかりちゃんを同僚の警官じゃなくて好きな女性として見てしまうのがわかっていたから。――
あかりはスマートフォンを手に取ると、電話をかけ始めた。
※
『はい』
三コールで電話に出た理貴の声を聞くのは久しぶりだ。
『結論は出た?』
開口一番に聞いてくる理貴の言葉をまるっと無視したあかりは、聞きたいんだけど、と前置きして理貴に訊ねた。
「たとえばなんだけど、理貴が警察官で同僚の子と付き合っていたとするじゃん。で、職務中にその子と現場が一緒になってさ、もし彼女が怪我しそうになったら庇う?」
捲し立てるように話すあかりに少し戸惑った様子の理貴は、彼女を落ち着かせるようにゆっくりと口を開いた。
『それは昨日あった事件のような状況に置かれたらってこと? 朝のニュースでナイフを持った男から同僚の警官を庇った警察官が十針縫う怪我をしたって言っていたから』
ニュースになっているなら守秘義務は関係ない。あかりは、「そう」と短く答えた。