モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
「でも……」
『でも、は無し。とはいえ、僕も今日の打ち合わせは外せなくて。中途半端なところで話切り上げてごめんね』
「いや、そんな……」
あくまでも下手に立つ理貴にあかりはモゴモゴと返事をする。そんな様子にもう一度笑うと、理貴は電話切る前に、と早口で言った。
『でもさ、本当はあかりちゃんと肩を並べて働いてもみたかったんだ。やっぱり同じ目線じゃないと見えないこともあるし、誇りを傷つけることになったとしても、あかりちゃんを危ない目に合わせたくない。だから、カッコ悪いんだけど俺、体を張ってあかりちゃんを守った元カレさんに今、すごく嫉妬してる』
それだけ言い終えた理貴は、本当に時間切れだったのだろう。彼にしては珍しく唐突に電話が切れた。
あかりはしばらく携帯を見つめながら、理貴の言葉を反芻する。先程のやり取りだけではなく、今までのやり取りを全部。
昔の――幼馴染のヒョロヒョロした理貴は頭から追い出して、再会してから今までの理貴だけを思い出す。