モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
「散々悩んだ上で、颯さんが結婚を決められないなら、別れるって決めて話を切り出したから。だから、別れた後にプロポーズされて驚いた」
「うん」
「今だから言えるけど、正直未練がましいなって」
「確かにな」
颯は苦笑する。あかりも釣られて少し笑った。
「でも、その後の颯さんの生い立ちを聞いて迷った。そんなに深く私のこと考えて、自分が仕事辞める決断をして。颯さんが仕事に情熱を持っているのも、周りから評価もされているのに、私のために投げ出す決意をしてくれたことに、すごく揺れた」
「そうか」
「うん」
あかりは一息ついた。次のセリフは口にしたくはない。けれど、自身にも残っている僅かな執着を断ち切るためにも、その言葉を発した。
「でも、颯さんに対しての想いは情だったんです。好き、という気持ちと似ていたし、やっぱり初めての人だったから。勘違いして中途半端なことをしてごめんなさい」
頭を下げたあかりを見ていた颯は、不意に笑った。その笑みで、あかりは自分が気付く前に颯がそのことを察していたことを理解する。それくらいは、顔を見ればわかるくらいの関係だったのだから。