モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
「っつ……! 気付いていたなら……」
「アホか。自分で気付かんと意味ないだろうが」
颯の叱責は優しくて甘い。それが今のあかりには痛い。
仕事の面では厳しい颯が、恋人の時間だけに見せる顔に何度も胸を高鳴らせたのだから。
胸が苦しくなる。目の奥がツンとする。それでも颯の前で泣くのは違うと、あかりは必死に溢れるものを堪える。
「まぁ、流されてくれるのを1%くらいは期待したがな」
「……」
「そんな顔すんなって。後悔するだろうが、あの時、抱かなかったことを」
あかりの脳裏にあの夜のことが鮮明に蘇る。抱かれたらきっと上手くいくと思って、颯に諌められたあの日。
自分では気付いてなかったが、颯には伝わっていたのだろう。あかりが理貴に心を動かされていたことを。
思い出せば出すほど、今更ながら彼に失礼なことをしていた。
あかりが詫びようとする前に、颯がそれを押し留めた。
「なぁ、あかり」
「……はい」
「もし、俺が……。別れる前に結婚を決めていたら……いや、きちんと生い立ちのことを話していたら可能性はあったか?」
「当たり前です」
あかりは断言する。