モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています


 気後れしたが、店員に「いらっしゃいませ」と声を掛けられたあかりは、仕方なく理貴の名字を告げた。
 予約は問題なくされていたようだ。店員に案内された席は、半個室になっていて少しだけあかりをホッとさせる。
 自分の格好が周りから見えないからだ。
 
 指定された場所はオフィス街とは知っていたから、手持ちの服の中でも一軍に属するカットソーにワイドパンツという装いだ。だが、仕事帰りの人間で占められていた店の中ではあかりの服装は浮いていた。
 
 外資系の企業も近くに多くあるからだろうか。皆、パリッとしたスーツか、巷でオフィスカジュアルと言われている服装を華麗に着こなしている。
 髪の毛の先から指先、足元にまで気を配ったコーディネート。職場に制服があり、同僚もオジサンが多いあかりには、彼女たちの服装がある種の戦闘服に見えた。

(キラキラ女子も大変だなぁ……)

 あかりはどこか他人事のような感想を浮かべるが、一方で彼女たちを羨ましくも感じる。
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