モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
あかりが警察官でいることに誇りを持っているように、自分で作り上げたこの会社は理貴の誉れなのだ。
人と争うより、穏便に済ませるタイプの理貴が、早見七星との熱愛時に怒っていた理由。自分の城に土足でズカズカと入って来られたから、あの時、あんな怒りに満ちた声明を出したのだとあかりは合点がいった。
あかりは一呼吸置く。そうすると心が落ち着いく。もしかしたら会えるかも、となんの気無しに会社を見に来たことを反省した。
ならば、とあかりは周りを見回す。目的のものはテーブルの片隅に置いてあった。
「紙とペン、借りていい?」
「え、あぁ。どうぞ」
理貴はあかりの前に紙とペンを置く。あかりは自分の家の住所を書き、理貴に渡しながら立ち上がった。