モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
「え……っと?」
突然渡された理貴は今の状況がわからず、困惑の表情を浮かべた。反対にあかりはスッキリした顔で理貴に伝える。
「帰るから後で来てくれる?」
「え? 来てって……?」
「それ、家の住所」
「あ……そうなんだ?」
「好きだって伝えたかったけど、ここじゃ不適切だからさ。後で言うから来てくれる?」
「えっ!?」
ガタンと立ち上がる理貴を訝しげに見るあかりは、先程自分が口を滑らしたことに気づいていなかった。怪訝そうな顔を浮かべながらも、あかりは続きを口にする。
「本当は私のほうが行くのが筋なんだけど、今日外泊許可取ってないから」
「えっ……? あっ……ちょ……待っ」
「じゃ、私先帰るね。お茶ごちそうさま」
焦る理貴をよそに言いたいことを言ったあかりは颯爽と部屋を出ていったのだった。
「えっ……ちょっと! あかりちゃん!!」
手を伸ばした理貴だが、あかりには気付かれることはなかった。虚しく閉じられたドアの音がすると同時に理貴は椅子に脱力する。
「ちょっと待って……って……好きって言った……よな?」
頭をクシャリと掻きむしる理貴の顔は、真っ赤になっていた。