モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
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「ちょっ……!? 理貴!?」
あかりの部屋は、一LDKだ。部屋に入るなりリビングに置いてあるソファーに押し倒されたあかりは覆いかぶさる理貴を突っぱねようとする。
あかりの叱責など今は問題じゃないというように、理貴は低い声で呟く。
「話って何?」
「……先、どいて」
「イヤだよ。言ったよね、「どうなっても知らない」って」
「ちょっ……」
あかりは腕に弱々しく力を込める。だがそんな力では理貴はピクリとも動かない。手荒にすることも出来ず、焦るあかりに理貴は改めて問い質した。
「で、話って何?」
「どいてくれたら話す」
「イヤ」
「どいて」
「だからイヤだって」
玄関先でもしたような応酬が続く。と、先に耐えきれなくなったのは理貴だった。フッと微笑むとあかりに切り出す。
「ってか、警察官のあかりちゃんなら常に鍛えているんだし僕のこと押し返せるし、投げ飛ばせるでしょ? そんなに力入れてないんだから」
「なっ……!?」
あかりの顔は瞬時に真っ赤になる。
「そ、それは……て、手荒にしたら、悪いか……なって……」
どもりながら視線を逸らすあかりを理貴は許さない。
片手であかりの顎を掴んて自分の方に向かせると、同じ問いを発した。
「で、話って何?」
と。