モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています


「わ、……忘れたっ!」

 あかりの口から飛び出したセリフに理貴は呆気に取られる。その隙に理貴の下から抜け出すことに成功したあかりだったが、狭い家だ。すぐに理貴に捕まってしまう。

「ダメ、そんなの」
 理貴は逃がすつもりはないようだ。
「今日、久しぶりに会えただけでも嬉しかったんだ。好きだしずっと会いたかったから」
「……ん」
「なのに家にまで教えてくれてさ。それも部屋の中まで招き入れてくれて」
「……」
「そんなの期待するよね。あかりちゃんも僕と同じ気持ちなんだって」
「……っつ!」
「正直さ、理性吹っ飛びそうなんだけど。でも本当に違うならまだギリギリ抑えられるから。だから……」 
 
 からかう口調から少しずつ懇願するように声が変わっていく。そして少しだけ掠れた声で理貴は囁いたのだ。

「あかりちゃんの気持ち、教えて?」
 と。
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