モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています


「でも、あかりちゃん」
「なに?」
「できるなら僕とこのまま結婚して欲しい。もう……手離したくない。お願いします」
 そう言って理貴はあかりに手を差し出した。僅かに震えているその手をあかりは取らなかった。
 代わりに両手で理貴の頬をバチンと音を立てて挟み、自分の方に向かせる。
 
「いたっ……あかり……」
「バカ理貴!」
 抗議する理貴に被せるように叱ったあかりは、そのまま思いの丈をぶつける。
「そんなんで私が結婚を決めたと思うの!?」
 あかりの声に理貴は驚きのあまり固まる。あかりは理貴に気を遣うことなく、心の内を吐き出した。

「そりゃあ早いよ、結婚までさ。三ヶ月しか付き合ってないし。でも元々それ前提だったじゃん、始まりが」
「あかりちゃ……」
「私が式とか興味なかったから仕事を言い訳に理貴に丸投げしたけど……。私が理貴に押されたからって流されると思うの!?」
「…………思う」
 理貴の言葉にあかりの両手に力が籠もる。イラッとした目を向けていたあかりだが、理貴の真面目くさった顔を見ている内に、ヘナヘナと崩れ落ち、ベッドに突っ伏した。
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