モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
そのことを口にしたあかりに、理貴は「そんなことないよ」と謙遜しているかのように首を振る。
「あかりちゃんのように夢を叶えている人のほうがずっとすごいよ」
褒め称える理貴がむず痒くて、当時の自分が不甲斐なくてついマイナスな言葉をぶつけてしまう。
「一番ダメダメだった頃なのに?」
言ってすぐに後悔した。
理貴が、当時の自分を「すごい」と思ってくれているなら、そのまま理想の自分でいれば良かったのだ。過去の弱い自分を今更さらけ出しても何も発展しない。
むしろ、理貴に変な気遣いをさせてしまうだけなのに。
後悔しても、一度口にした言葉は戻らないのだ。
あかりの投げやりなセリフに理貴は眉をあげただけだった。あかりにはそれがどういう感情なのかは読み取れなかった。
なら、もうどうにでもなれ、とあかりは開き直って頷いた。
「そうなの。理想と違って現実は……ってやつで、仕事辞めるかどうか迷っていたんだ」
「全然そんな風には見えなかったよ」
あかりは苦笑いを浮かべながら首を振った。