モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
自分から別れを切り出したけれど、颯のことをキライになったわけではないのだ。それでも今でも好きかどうか問われると答えられない。
颯のいいところも素敵なところも知っている。けれど、やっぱり相容れないところもあったのだ。
両方を天秤にかけ別れを決意するまで散々考えて決断したのだ。
言葉が出てこないあかりに理貴は安心したようにニコリと微笑んだ。
「よかった、僕にもチャンスありそうだ」
「何を聞いたらそうなるのよ」
「一回僕と付き合ってみない?じゃないとどっちがいいか比べられないでしょ」
「何言ってるのよ。職業柄、そんな簡単に付き合えないし。そもそも理貴のことそういう対象として見てない」
「じゃあ付き合ってくれるまで頑張る」
「やだって。時間の無駄だよ。他の女の子と付き合いなよ」
「付き合ったよ。でも長続きしなかった」
「あっそう……」
「オススメだと思うよ、僕。時間の融通きくからあかりちゃんの都合に合わせられるし」
理貴と押し問答を繰り広げるが、どこまでいっても話は平行線だ。唯一わかっているのは、理貴は一切譲る気がないということ。
あかりは理貴に気付かれないようにため息をついた。
(めんどくさい……)
「どう、あかりちゃん。お友達から、っていうのでもいいよ、とりあえずは、ね」
「わかった、わかった。じゃあとりあえずお友達で」
もう帰りたくなったあかりはテキトーに話を終わらせることにしたのだ。連絡が来たとしても、仕事が忙しいと理由をつけて断り続ければ、さすがの理貴も諦めるだろう。
それもまためんどうなのはわかっていたが、ここで終わりがない押し問答を続けるよりもマシだと思ったのだ。
後で散々その判断を後悔するとは思わずに。