モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
颯のことを考えると、辛いと思うのは憎んで別れたからじゃないから。だけど、別れを選ぶ前に散々悩んだのだ。
家庭を持ちたいし、子どもも出来れば授かりたいあかりに反して、颯は明確に答えを返さなかったのだ。すれ違っている以上、必然的に付き合い続けるのは難しかった。
だけど。
「別れてすぐ他の人と付き合うのはさ……」
あかりのボヤキに結は「何言ってんのよ」と返す。
「よくあることじゃん」
「それはそうだけど……。そんな気持ちはすぐに変わらないよ」
「そんなん言ってたら婚期逃すよ。特に私達は職場結婚じゃない限り、好きだから結婚できるとは限らないんだし」
結の言う通り警官は国防の一端を担っている関係上、一般人と付き合ったり結婚する時には身辺調査が入る。
本人は問題がなくても親類縁者で引っかかって、泣く泣く別れを選んだり、仕事を辞めたりする人を見てきた。
その点、警官同士の結婚は容易い。
警察官の試験に合格する前には必ず身辺調査がある。警察官になっているということは、結婚できる条件を既にクリアになっているということだからだ。
だから――特に女性警官は数が少ないこともあり――職場結婚が多いのだ。
理貴と付き合っても結婚まではたどり着かないかもしれない。
わかってはいるけれど。