モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
別れましたよね?
理貴の気持ちに答えるわけでもなく、かといって颯の気持ちを完璧に断ち切れていないあかりだったが、気づいたらあっという間に二ヶ月程経っていた。
仕事の忙しさにかまけて理貴との関係は曖昧なままだ。だけど不思議なことに、そこまで負担には感じなかった。
相変わらず理貴からの連絡は定期的に来ているが、忙しいといえば一旦その時は引いてくれる。
うまい具合に距離を取ってくれる理貴とのやり取りは、気が楽だ。
それよりも今あかりを悩ましているのは。
――ピロン。
あかりは携帯を手に取ると、ため息をついた。
送信者は、山科 颯。二ヶ月前に別れたあかりの元カレである。
『空いてる日、いつ?』
颯から来ているのは、いつも一行だけの簡素なメッセージだ。
素っ気ない連絡も付き合っている頃なら嬉しかったのに、別れた今では戸惑ってしまう。
(なんで今更……)