モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています

別れましたよね?


 理貴の気持ちに答えるわけでもなく、かといって颯の気持ちを完璧に断ち切れていないあかりだったが、気づいたらあっという間に二ヶ月程経っていた。
 
 仕事の忙しさにかまけて理貴との関係は曖昧なままだ。だけど不思議なことに、そこまで負担には感じなかった。
 相変わらず理貴からの連絡は定期的に来ているが、忙しいといえば一旦その時は引いてくれる。
 うまい具合に距離を取ってくれる理貴とのやり取りは、気が楽だ。
 それよりも今あかりを悩ましているのは。

 ――ピロン。

 あかりは携帯を手に取ると、ため息をついた。
 送信者は、山科 颯。二ヶ月前に別れたあかりの元カレである。

『空いてる日、いつ?』
 颯から来ているのは、いつも一行だけの簡素なメッセージだ。
 素っ気ない連絡も付き合っている頃なら嬉しかったのに、別れた今では戸惑ってしまう。

 (なんで今更……)
< 51 / 230 >

この作品をシェア

pagetop