モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
いつもあかりが連絡する方だったのに。
別れた途端、マメに連絡を送ってくるようになるとは皮肉なものだ。
少し前から颯は、何度も何度も断ってもしつこく連絡を送ってくる。
(散々話し合ったはずなのに……)
チクンと胸が痛むのは、まだ颯に気持ちがあるということなのだろうか。
自分の気持ちがわからないけれど、今は颯にも理貴にも会いたいとは思わない。
あかりは迷う。自分の気持ちに正直に従うべきか、それとも別れても残っている上下関係に従うべきか。
そこまで考えた後、あかりはフッと笑った。
もう既に散々断っているのだ。もし問題になるのであればとっくの昔になっている。
それに颯は、公私混同をするのをいやがるタイプだ。あかりが付き合う以前も、付き合った後もオンとオフの切り替えは徹底していた。
颯ならば、あかりが今から送るメッセージの意味を正確に捉えるだろう。
あかりは短い文章を打つと、意を決して送信ボタンを押した。
『空いている日はありません』と書いたメッセージにほどなく既読という文字がついたが、颯からの返信はなかった。