モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
「あかりー、最近どうなのよ。こっちの方」
定期報告を終えたあかりは早野の終了の合図を待っていたのに。
上司はあかりの気持ちとは裏腹に右手の親指を立てる。
このハンドサインは、「男はいるのか」と訊ねているのだ。
昭和ならともかく、今は令和だ。イマドキそんなサインするのはアンタくらいだよ、と心の中で呟いてあかりは首を振る。
「いやー、全くです」
颯別れたと報告してからまだ二ヶ月しか経っていないのだ。それになにかあると常に報告を求められる環境なのだ。必要なことは都度伝えている。
理貴と飲みに行って結婚しようと言われたことも、その気がないから断ったことも既に報告済みなのだ。
それ以上の進展など、ない。
「そうなの?」
わざとらしく眉を上げて驚いた表情をする早野は、手帳をパラパラとめくる。