モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています


(あー、長引くわ……)
 早野のこの動作をするときは、何か聞きたいことがあるときの前振りだ。
 取り調べの時だけに使ってくれよ、とあかりが心で叫んだ時、早野は口を開いた。

「幼馴染の金持ち君とはどうなのよ、進展の方は」
「報告している以上のことはないですよ。前に伝えている通り、結婚しようとは言われましたけど断っていますし、お付き合いもしていません。一度飲みに行ったきりで、最近は会ってもいないです。……まぁ、連絡は来ていますけど」
「ふぅん、そうか」
 早野は面白くなさそうに返事をする。
 興味ないなら聞かないでほしい、と思うが、警察(ここ)は特殊なのだ。
 不祥事を避けるため、プライベートの――特に金銭面や異性関係は執拗に聞かれるのは仕方ない。
 わかってはいるけれどめんどうくさいと思ってしまったあかりは、そっとため息をついた。次の瞬間にその息は止まることになるのだが。
 あかりの様子を確認した早野は、そっと爆弾を投下した。
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