モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています
なんで今さらプロポーズ?
「なっ……」
絶句して口をパクパクさせるあかりとは反対に、颯はスッキリした表情を浮かべている。
ビールを一口飲んだ颯は、二の句が継げないあかりの気持ちを代弁する。
「なんで今さら、ってか?」
返事代わりにコクコクと頷いたあかりに、颯はフッと息を吐いた。
「今さら、じゃない」
自分を鼓舞するように一旦言葉を区切ると、あかりを見据えて再び口を開いた。
「オレはそのつもりで付き合っていた」
「……嘘っ。話したときに曖昧な返事しかしなかったじゃないですか!それに……もう別れましたけれど」
「だから何?」
「だからっ……」
「まだ好きだろ、オレのこと」
ぐぅ、と言葉に詰まる。
気持ちは残していないつもりだったのに、対面すると、好きという気持ちを再認識させられる。
顔も、性格も、そして体型も。
すべてがあかりの好みに合致しているのが颯なのだ。嫌いになって別離を選んだならまだしも、一朝一夕で人の気持ちは変わらない。
でも別れたということは、颯とは将来が見えなかった。それが全てである。